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<詳細>

以下は現在実施中および研究中の主な活動内容です。

① 国立大学病院診療情報バックアップ事業

災害下にも医療情報の継続性が保たれるように、全国国立大学病院診療情報バックアップ事業(The Gemini Project)が平成25年度より開始されました。診療データのみならずシステムバックアップも保存することで、速やかなシステム復旧も担保する仕組みとなっています。当院においてもセットアップは完了しましたので、実際の災害時に円滑に使用できるよう、災害マニュアルに手順を明確に定める準備を行っています。

② センチネルプロジェクト(医療情報データベース基盤整備事業)

センチネルプロジェクト.ai
病院における診療情報をデータベース化し、投与薬剤による副作用の早期発見や検証に役立てることを目的とするセンチネルプロジェクトに東北大学病院担当責任者として参加しています。現在、全国10の大学病院や病院グループにおいてデータベースシステムが構築され、実際に診療情報が日々蓄積しています。平成25年度からはその正確性を評価するバリデーション事業が開始されており、今後の活用方法を議論、さらなる医療情報活用の進展が期待されます。
厚労省:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000mlub.htmlより

③ みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会
( Miyagi Medical and Welfare Information Network )

みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会(MMWIN)に協力し、宮城県における診療情報のバックアップ、また診療情報の共有や活用方法を検討しています。単純に病院間をネットワークでつなぐだけでは診療情報の活用は困難です。コード化などの標準化対応、アプリケーションの改善などを行いながら、実運用に足るシステム構築が必要となります。センチネルプロジェクトや東北大学病院情報システムで培った経験を活かして協力したいと思います。
http://mmwin.or.jp/index.html

④ 災害時情報システムの構築

各避難所の情報を効率よく収集するためのシステムを災害医療ACT研究所と協力して開発しています。今後広域災害救急医療情報システム(EMIS)との連携など発展が期待されます。地域によらず普遍性をもったシステムとして完成させるために尽力します。また、独自にも急性期災害医療を支えるよう情報インフラの整備対策や、紙媒体と融合したフレキシブルな情報システムを構築する準備を行っています。

⑤ SS-MIX2 拡張ストレージの充実

SS-MIX2 拡張ストレージの充実.ai
標準ストレージ形式であるSS-MIX2 (Standardized Structured Medical record Information eXchange)は、異なるベンダーカルテシステムからの情報であっても同一のルールで保存できる利点があります。その利便性から、現在多くのプロジェクトで使用されてきています。SS-MIX2は標準ストレージと拡張ストレージとに大別でき、標準コードと紐づくなど構造化されたデータは標準ストレージに保存されます。病名情報、採血検査結果、処方などのデータが該当します。一方、拡張ストレージはそれ以外を対象とするため、専門性に特化した部分を含む大半の検査・治療データはほとんど該当します。従って、今後のデータ活用を鑑みれば、拡張ストレージの構造化や整備は不可欠であると思っています。私は循環器内科出身ですので、まずは心電図や心臓超音波検査、心臓カテーテル等、循環器検査・治療のレポートフォーマットを定めることを推進するよう国際標準化推進団体であるIHE-Jと協力し活動しています。本方針は、平成25年度日本循環器学会(JCS)理事会の承認を得ることができました。今後はJCS標準として確立することを各方面からの協力を得て、実現したいと思っています。

⑥ 心電図情報のQRコード化

心電図情報をQRコードに包含し、一般のQRリーダーを用いることで心電図情報の復元ができるプログラムを作成した。本機能により、診療情報システムやPACS等が活用できない状況においても以前の心電図情報を参照でき、災害時に発症が増加する心疾患のスクリーニングに役立てることができる。本研究は平成25年8月コペンハーゲンで開かれた国際医療情報学会MedInfo2013で発表し、Distinguished Poster Awardを受賞した。現在デンソーウェーブと共同研究を行い、さらなる改良に努めます。

⑦ 電子カルテと機能充実

東北大学病院における実施責任者として電子カルテを導入しました。平成25年2月から各診療科ごとトライアルを行い、1科ずつルールを定めることで順次拡大。最終的に平成26年4月に全診療科全病棟で電子カルテの導入が完了しました。その過程においては、院内の多くの診療スタッフに大変ご協力いただきました。長年の歴史から必ずしも電子カルテに適していない独自カスタマイズもあるため、真にユーザーにとって使い勝手がよくなるようカルテベンダーとともに開発中です。また、次のステップとして、各診療科の自科検査連携、各診療科データベースと病院情報システムとの連携を目標に準備を進めています。

⑧ 重症病棟指示簿システム

重症病棟における指示簿システムを独自構築しました。ポイントは、経過表をみながら指示を出せること、持続注射・時間注射等いかにストレスなく指示が出せること、「指示出し→受け→実施」もしくは「口頭指示→承認」の流れをスムーズに織り込めることです。例として、持続点滴の流量変更が右クリックで簡便に修正できること、その際流量の変化が経過表上に明瞭に残ること、持続点滴に1日1回混注する薬剤があるときもシームレスに切り替えがシステム上でできること、時間注射では時間によって回数が自動的に変更されること、などを実現しています。以下がその画面展開です。

<持続注射>
持続注射.png

↓.png

持続注射_2.png

<時間注射>
時間注射.png

⑨ 患者プロファイルとしてのアレルギー情報の標準化

平成24-25年度の厚労省科研費を頂き、アレルギー情報の標準化に関する研究を行いました。アレルギー情報の共有は医療安全上とても重要なことですが、その取り扱いのルールは定まっていません。現状把握をする目的で、全国600床以上の病院にアンケートを行い、アレルギー情報の内容や取り扱いのルールが個々の施設によって異なること、電子カルテにおけるアラート機能においても統一がとれていないこと、国レベルで共通した概念の確立を期待する声が多いことなど現状の問題点を明らかにしました。これは本邦だけの問題ではなく、国際的に標準化の進んだ海外の施設においても同様の限界があります。本研究の結果をもとに、東北大学病院において多職種メンバーによる議論を行ってさらに問題点を深めた後、実際に病院情報システムを改善、継続的に活動中です。